真田丸23話「攻略」で動き出した、史上空前の兵力による北条討伐。息子「氏直」の嫁として娘を迎えて親戚付き合いのはずの徳川家康は豊臣への服従を迫り、同盟国として頼みの綱だった「伊達政宗」は、上洛の遅れを詫びるパフォーマンスの死装束で秀吉の元に参上。不利になる一方の状況に、青ざめた顔色を薄化粧で隠し、何日も風呂に入らぬ体臭を香水で隠して蹴鞠に興じる北条氏政。ドラマ登場時の自信に溢れた態度を今までの放送で見てきたからこそ、自信と誇りを失いやつれていく様子が非常に印象的。高嶋政伸さんの鬼気迫る演技と存在感が本当に素晴らしかったですね。
秀吉が石田三成に命じた、成田氏が守る北条の支城「忍城」攻め。映画「のぼうの城」は見てたのですが、改めてこの戦いかと再確認。歴史って様々な視点で見るとごとに解釈が生まれるので本当に面白いですね。作品としても印象に残っていましたので、もう一度観てみたいと思います。
あと、何よりも印象的だったのが、北条氏政を説き伏せる最後の使者として、北条側の板部岡江雪斎たっての願いで選ばれたのが信繁(幸村)だったこと。前回の「裁定」で信繁が江雪斎の本心に感じ入ったシーンがありましたが、江雪斎もまた信繁のひたむきさを認めていたんですね。まさに昨日の敵は友。史実だけを見ていくと、知力・武力ともに優れて父・昌幸と兄・信之の陰に隠れ、己の存在感を世に放てたのは死ぬまでの最後の一年ほどだった信繁。そこに至るまでの長い時間の中で、語られることのなかった戦国武士「真田信繁(幸村)」の素顔。誰も見たことがないからこそ、フィクションだからこそ作家の想像力が観る私たちの想像力も膨らませてくれる。重ね重ね時代ドラマや時代小説の醍醐味ここにありですね。
「さなだんごの旅」の制作にあたって、群馬・長野の主要なスポットはあらかた見てきましたが、真田家の運命に関わってくる他の戦国大名の方はまだまだこれからの状況です。色々な資料を読むといくらでも出てくる小田原城の堅牢さも、当時の北条氏の威勢も文章だけでは今ひとつ掴めません。根っからの歴史ファンではないからこそのビギナー視点を頼りに、早速出かけてきた有名スポット「小田原城址公園」の紹介は次回に。
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編集者コラムとは?!
さなだんごの旅制作委員会のカメラマン兼コピーライターが、大好きな「真田」をネタに語るコラム。池波正太郎氏ファンである彼は、群馬や長野、三重など日本各地へ出張へ行くことが多く、いつの間にか歴史好きに。ゆかりの地を巡る旅の様子やNHK大河ドラマ「真田丸」を見て思ったことなど、彼独自の目線で語っていきます。